公明党神奈川県議団

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平成21年12月定例会にて代表質問を行いました。

鈴木 ひでし 議員(横浜市鶴見区)

知事の政治姿勢について

マニフェスト選挙のモデルである英国では、総選挙の2、3年前から、政策構想を練り、政策案を発表し、議論を行い、党大会を経てマニフェストに盛り込んでいる。北川前三重県知事も、「マニフェストというのは脳から汗が出るほど考え、その過程もすべて公開して初めて国民の信託を得ることができる。民主党にはそれが足りない」と述べられている。世論調査を見ても、国民がそのすべての実現を望んでいるというわけではない。だからこそ、マニフェストの実行にあたっては、国民や当事者の声や意見を聞く必要がある。
県政も同様である。知事のマニフェストにはローカルルールイレブンなど、「生活の匂いがしない、きれいな、目立つもの」ばかりが並べられているが、生活者の目線からは全く離れている。マニフェストの実行にあたっては、県民の意見をよく聞き、その時点での状況の変化を捉え、県民からみた施策のプライオリティを見極める必要がある。

雇用・経済情勢がマニフェストを作成した時点とは大きく変わっている中で、今一度、マニフェストを作り直すとしたら、政治家として、目線をどこに置き、一番に対応すべき課題は何と考えられるのか、所見を伺いたい。

中期財政見通しでは、今後5年間で、1兆円を超える財源不足が見込まれるとのことである。当座をしのいでも、子どもや孫の世代に莫大な借金が残り、このままでは神奈川に暮らすことに何の希望も抱けなくなってしまいかねない。弱者のためのセーフティネットの充実こそが、「税金」で施策を実行する公共団体としての責務であるが、その財源としての収入を増やすための増収策が、いまこそ必要である。

増収を図るためには、人を雇う「企業」を維持し、増やしていかなければならない。全庁的な視点で「産業を誘致し、雇用を増大する」ことを検討し、神奈川の未来のビジョンを示していただきたい。

そこで、自治体トップとして、県民が希望の持てる将来のビジョンを示すために必要不可欠な産業振興をどのように図っていくつもりか、所見を伺いたい。

中小企業への支援について

平成21年8月に県が実施した「中小企業者の資金調達に関する緊急調査」では、県内中小企業者からの強い要望として、「金利の軽減」とともに「保証料負担の軽減」があげられている。神奈川県信用保証協会は、17年度以降、県の制度融資実績が急増し保証料収入が増加したことなどにより、19年度までの3か年で、62億円余の利益をあげているが、信用保証協会は、「信用保証協会法」という法律に基づいて設立された特殊法人であり、県や市町村などが基本財産の造成にたずさわり、極めて公益性の強い法人である。

そこで、制度融資の2,600億円といった計画額を達成するためにも、また、厳しい経営状況に置かれている県内中小企業者からの要望に応えるためにも、中小企業制度融資について、神奈川県信用保証協会と協調した本県独自の取組みが必要と考えるが、所見を伺いたい。

県内中小建設業の倒産状況は、今年の1月から9月までの合計で198件、前年同期比では149パーセントとなり、まさに危機的な状況となっている。県内の中小建設業者が次々と倒産してしまっては、県が重点施策として推進している「安全、安心な県土づくり」に支障が生ずることは明らかである。

入札制度「かながわ方式」における最低制限価格率の引上げや、上半期発注率80パーセントの達成など、県内中小建設業への経済対策を実施してきたことは承知しているが、まさに今、年の瀬が越えられるか越えられないかの瀬戸際の企業もある。

そこで、この年末を迎えるにあたっては、引き続き、厳しい経営状況におかれている県内中小建設業者への支援が必要と考えるが、所見を伺いたい。

雇用対策について

職業訓練に対する注目がますます高まる中、職業技術校は、使用しているコンピュータも古く、また、相変わらず旋盤や溶接の訓練なども行っている。職業訓練は就職のための訓練であり、県内企業の求人ニーズを十分に踏まえる必要がある。今、時代のニーズはIT技術であり、これからは、日進月歩の発展を遂げるロボットに関する技術もますます必要とされてくる。また、現在、もっとも求人倍率が高い分野は介護分野である。ニーズの少ない訓練を減らし、需要の多い訓練の量と質を高めるような、不断の取組みが、今、職業訓練には求められている。
そこで、現在のように雇用が厳しい時代にあって、職業訓練は、その時代に必要とされる訓練内容に柔軟に変えていくべきではないかと考えるが、今後、県として職業訓練にどのように取り組んでいくつもりか所見を伺いたい。

福祉施策について

ロボット技術が、介護分野にも有効に活用される例が出てきているが、まだまだ浸透しているとは言いがたいのが現状である。その理由の一つとして「事故はないのか」「介護というヒューマンサービスにロボットはそぐわないのではないか」という現場の不安や疑問がある。このような不安や疑問を払拭するためにも、まず、行政がロボットの有効性をPRし、その普及に主体的に取り組んでいくべきと考える。

そこで、福祉関係者などと連携して、企業の力も借りながら、ロボット技術を介護分野に有効に活用していくためのプロジェクトを立ち上げてはいかがかと考えるが、所見を伺いたい。

認知症の方も自尊心を持っている。認知症により、自尊心を一番傷つけられているのはご本人であるということを、周囲にいる我々が理解し、認知症の方に「寄り添う」気持ちを持たなければならない。
周囲が、認知症の方ご本人を傷つけることを少しでも防ぐために、高齢化のスピードが早い本県で、認知症というものを少しでも理解し、それを県民全体に広めていくという取組みが必須である。

そこで、認知症の方たちに対する理解を促進し、社会に発信する、また、どのように接したらいいのかわからないという周囲の方たちの相談を行うこともできる、認知症に関するワンストップサービスを立ち上げてはいかがと考えるが、所見を伺いたい。

森林整備について

森林のCO2吸収効果に着目し、自治体と企業が協力して森林を整備する取組みが行われている。企業の協力により整備した森林が吸収するCO2吸収量を自治体が認証するもので、企業は「環境にやさしい」イメージだけでなく、具体的なCO2削減量も示すことができる。
さらに、木材が貯留するCO2の量、カーボンストックを認証する制度をつくれば、木材としての利用が促進され、伐採した跡地に植林し、大きく育て、さらに伐採して利用するという、森林循環の仕組みを促進する効果が期待される。森林循環の仕組みができれば、水源涵養機能など公益的機能の発揮が図られ、CO2の吸収量が増加するとともに、より多くのCO2を貯留することができる。県産木材のカーボンストックを認証する制度にすれば、県産木材の消費を促すこともできる。

そこで、CO2の吸収源としての森林の整備を、企業の協力を得てどのように進めているのか伺いたい。

また、森林で吸収したCO2を都市で貯留していくことが、森林整備にもつながり、地球温暖化の防止にも役立つことを広く県民に理解してもらうためにも、木材のカーボンストックを認証する制度を導入すべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

液状化対策について

大規模な液状化が発生すれば、戸建て住宅には不同沈下が生じ、埋設管路にも、多数の損傷が生じる。さらにこのとき、埋立地などの護岸の強度が十分でないと、液状化した地盤が海の方に流れる「側方流動」が生じる。阪神・淡路大震災でも、配管の破損による液化石油ガスの大量漏洩や、橋脚基礎の移動による橋桁の落下被害が発生した。

本県における側方流動の危険性は、04年にも「臨海部の埋立地で、液状化により、地盤が海側に数メートルも動くという側方流動が起こる危険性が高く、石油化学コンビナート施設などが破壊され、流出した石油が炎上する最悪のケースも想定されるため、神奈川県が高圧ガス施設の対策の検討を始めた」と新聞で報じられ、また、中央防災会議でも、東京湾沿岸の臨海コンビナート地帯での被害発生と対策の必要性が指摘されている。
このような状況の中、コンビナートに止まらず、臨海部全域の住民の安全を守るためにも、京浜臨海部における液状化、側方流動による被害を最小限に抑える取組みが必要である。

そこで、京浜臨海部ではどのような被害が想定されるのか、また、その場合、どのような応急対策をとられるおつもりか、所見を伺いたい。

現在の吉野町から関内、花園橋方面までの広大なエリアは埋立てにより造成されている。これらのエリアで液状化が発生すれば、鉄道をはじめとする交通網が寸断され、県が対策本部を立ち上げようにも、職員が参集できないといった事態になりかねない。
県庁舎にしても、建てられているのは埋立地ではなく、昔の砂州の上ではあるが、地盤の液状化の懸念はぬぐいきれない。

そこで、関内地区周辺の液状化による被害予想、及び液状化がおきた場合の、応急活動や県民にとっての必要な業務の継続など、危機管理体制についてどのようにお考えか、所見を伺いたい。

また、いざというときに迅速かつ的確な災害対応をとり、県民の命を守るためにも、側方流動発生の可能性も含め、県庁舎にも何らかの耐震化策を講じておくべきではないかと考えるが、21年度中を目途とした県庁舎のあり方に関する検討について、現在、どのような検討が行われているのか、併せて伺いたい。

新たな警察行政のあり方について

警察署で取り扱った落とし物の返還は、取り扱った警察署での窓口又は取り扱った警察署へ連絡の上で送付しているが、警察署での窓口業務は、県民の大半が仕事に従事している時間であり、送付は手続きに時間がかかることから、落とし物を速やかに返してもらえない現況にある。
土曜日、日曜日の返還を希望する落とし主については、当直をしている警察官が対応してくれると伺ったが、本来、県民の安全を守るために、限られた人員で休憩時間も取れない中、事件当直に従事している警察官に対し、行政手続きを委託することは、本来の目的である治安の維持に支障をきたす懸念がある。
また、落とし物検索システムにより、どのような落とし物がどこで拾われているか、どの警察署で保管されているかが検索できるが、複数の警察署で該当した場合には、それぞれに問い合わせることになり、膨大な時間と労力がかかってしまう。さらに、インターネットに不得手な人のために、誰もが簡単に落とし物を探せるようなシステムも必要ではないかと考える。

そこで、警察本部内に24時間体制での「遺失物等カスタマーセンター」の構築ができないか、所見を伺いたい。

再質問

知事とのやり取りの中で私も、今、マニフェストについて私が思っていることを語らせていただいたわけでございますが、2点ほど、知事のほうに再質問させていただきたいと思います。

第1点ですが、今の知事の論理ですと、私はこのマニフェスト選挙とかマニフェストというもの、大半の方ってやっぱりお読みになった方はいらっしゃらないと思うのです。その意味では、図書館にはないのです。そういうことではありませんか。基本的には、それは、ひょっとして知事がこれから3期目を目指されるときは、またちょっと論点が違うかもしれませんが、全員が、神奈川県全員がマニフェストというものを読むという前提で、そういう、例えば話があるのか。知事が先ほどおっしゃった当然私もマニフェスト拝見させていただいて、インターネットやまたマニフェストの県民討論フォーラムというのをやられて作られたというのは存じております。ですけど、この論理の中での一番中核となるものは、読んでない方はいっぱいいらっしゃる。それでもどんどんそれがいくという観点を私はすごく心配しております。これに対して所感をお願いできれば思います。

もう1点ですが、今のお話の中で知事からも答弁いただきました、インベスト、先ほどの自民党さんの質問の中でも、私の答弁と自民党さんの答弁の中で、インベストの後、例えばロボットやまた航空宇宙学等々もひっくるめた対応をされるというお話ですが、私はイギリスのマニフェストの中に「国づくりのストーリー」という意味が、ある意味でマニフェストの中にあるんですね。要するに現状とかまたは分析をして、そして、その後にどういうものを作っていくのかという論議があると。私は今までいろんな論点を通じてみて、神奈川県の中にミクロの政策というのの打ち合いはある。例えば「たばこ」についても、ミクロのことはあっても今お話いただいたいような大きな形でのマクロの政策をどうするのかという打ち合いがないので、私は聞いたつもりなんです。そういうものが、これから、これだけの、ある意味で大変厳しい経済情勢の中にあるならば、財政状況であるならば、これから未来に向かってどういう、例えばマクロの政策をおとりになろうと思っているのか。この2点、お願いします。

要望

大変に、半分分からないご答弁いただいてありがとうございます。私は、政策についてお願いをしたわけでございまして、理念等々は私も読まさせていただきました。私は、この中で、知事にぜひともまたお考えいただければと思ったのは、先ほどから申しておりますマクロという観点での政策というものの中で、もう一度、前とは違ってるんです。100年に一度と言われているこういう中で、危機的な状況下の中でどういう政策をマクロで捉えて、そして、ミクロへつなげていくというこの道筋をつくるのが、先ほど言っているように、イギリスではそのストーリーとなっているんだと。国づくりのストーリーとなっているんだいうことを訴えたかったわけでございます。ぜひとも、その観点から、もう一度またお考えをいただき、また、議会での論議に入らさせていただきたいと思います。

最後でが、先ほどから、マニフェストの話、ちょうど3人の本日の登壇者が出ておりますが、ぜひとも、昨日、日経新聞の中に出ている、イギリスのエコノミスト誌の前の編集長のビル・エモット氏も、「イギリスではこんなにマニフェスト、マニフェストってこだわりませんよ」と、こう書いてありまして、ずいぶんお話と違うなというような思いがいたしました。イギリスのマニフェストなのか、それとも日本のマニフェストなのか、はっきりこれからつけるべき時代なのではないか。これ、日本のマニフェストという形にするのか、マニフェスト、マニフェストという言葉だけが素通りする時代を大変憂れいているわけです。以後また常任委員会等々でまた質疑をさせていただきます。