公明党神奈川県議団

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多文化共生の取組について

鈴木 ひでし 議員(横浜市鶴見区)

(1)多文化共生施策の推進について

本県には、約17万5千人の外国籍県民が暮らしており、その数は年々、増加する傾向にある。県は「多文化共生の地域社会づくり」を総合計画の重点プロジェクトに位置づけ、様々な施策に取り組んでいるが、各種の行政手続、日常生活上のルール、すまい探しの問題など、言語、文化及び生活習慣の違いなどから外国籍県民が生活上の困難を抱えて暮らしていることも事実である。日本語が十分に理解できず、苦労している外国籍県民も多く、外国籍県民の日本語学習の支援に取り組むボランティアの方々もノウハウや人材の面など課題も多い。このように、外国籍県民の抱える課題は多岐に渡っており、県の多くの局が関わるものであるため、全ての局が多文化共生施策の推進について問題意識を持ち、連携して施策に取り組んでいくことが重要である。
そこで、こうした現状及び課題を踏まえ、多文化共生の地域社会づくりを進める本県として、外国籍県民に対する生活支援の充実、そして日本語学習支援施策について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

次に、多文化共生施策の推進についてのお尋ねをいただきました。
県内では、外国籍県民の増加・定住化に伴い、多くの外国籍県民が、医療やすまい、教育など日常生活上様々な問題を抱えながらくらしており、日本語を十分に理解できないことが原因で苦労されている方も多くおられます。
そこで、県では、専門性を有するNPOと連携し、医療通訳派遣システムや外国人居住支援システムなどの先進的な事業を実施しております。このほか、10言語での行政情報の提供や、母国語で相談に対応する外国籍県民相談窓口の設置などの総合的な生活支援に取り組んでまいりました。
また、日本語学習支援についても、地球市民かながわプラザにおいて「あーすぷらざ外国人教育相談」や日本語学習に必要な資料の収集・提供を行っております。
しかしながら、近年の経済情勢の悪化に伴う雇い止めなどの労働問題や、不就学・不登校などの教育問題、DV等の深刻な家庭問題など、より継続的で包括的な支援が必要な問題が増加してきております。
一方、県内各地で外国籍県民の日本語学習を支援するボランティア活動が活発に行われていますが、日本語学習の経験が全くない方への対応や、日本語の教授法を学ぶ場が不足しているなど、ボランティアの方々も多くの課題を抱えております。
そこで、来年1月に専門的な知見を活かして外国籍県民支援に取り組む、国際言語文化アカデミアを、地球市民かながわプラザと同じ施設に開設し、相互に連携を図ることにより、外国籍県民やボランティアに対するサポート機能をより一層強化してまいります。
また、現在設置している相談窓口に、文化的背景の違いを踏まえながらケースワークを行い、一貫した支援を行う人材、「多文化ソーシャルワーカー」を来年度から新たに配置し、その機能を強化することとしております。
外国籍県民の抱える課題は生活全般の様々な分野に及ぶことから、庁内の各部局やNPO等、関係する主体の連携がとりわけ重要となります。こうしたことから、日常的なネットワークを充実するなど連携をより一層密にし、外国籍県民に対する効果的な支援を進めてまいります。

(2)外国籍児童・生徒の指導について

学校についての話題を学校の児童・生徒や卒業生などが書き込む、学校非公式サイトがインターネット上にたくさんつくられており、その多くが匿名で書込みが行われ、内容や表現が過激なものも多い。
学校名を略称にし、メンバーにしかわからないような符号を使ってサイト名を表現していることも多く、学校非公式サイトを探して書込みを監視するネットパトロールには、高度な専門的技能が必要となっており、業者に委託したり、非常勤で専門家を雇用している自治体もあると聞く。膨大なサイトの中から、問題のある非公式サイトをくまなく拾い出すことは、情報機器にかなり精通した教員でも難しい作業で、教員にこのような業務をやらせるのは、それでなくても多忙な教員にさらに負担を強いることになると考える。
そこで、実際に被害を受ける子どもたちが生まれている学校非公式サイト問題に対して、本県はどのような対策を立てているのか、所見を伺いたい。また、この問題に対して今後どのように取り組んでいくつもりなのか、具体的な対策の方向性について、併せて所見を伺いたい。

藤井教育長答弁

最後に、外国籍児童・生徒の指導にあたる教員への支援について、お尋ねがございました。
県内の小・中学校には、6千人を超える外国籍児童・生徒が在籍しており、国籍はもとより生活習慣、在留期間、年齢等が様々であることから、日本語の習得の状況など、一人ひとりに応じた指導が必要でございます。
そのため、各市町村教育委員会では、日本語能力が十分でなく、学校生活になじめない子どもたちに対して、それぞれの言語に堪能な日本語指導員を派遣し、支援をしております。 
また、県教育委員会では、外国籍児童・生徒が多数在籍する小・中学校に、日本語等の指導を担当する国際教室を設置するための教員を配置するなど、人的支援を行っております。
しかしながら、政令市を含む市町村教育委員会からは、外国籍児童・生徒の小・中学校への受け入れなどの様々なことに関する相談が、また、国際教室の担当教員からは、専門的な研修の充実を求める声が、直接、県教育委員会に寄せられております。
そこで、今後は、相談の多い事例や児童・生徒が、興味をもって取り組む効果的な教材例などを盛り込んだ手引き書を作成し、学校での指導や市町村における研修等で活用されるよう取り組んでまいります。
また、この手引き書で示した内容が定着するまでの間、実際に指導に当たっている教員が、直接相談できる窓口を、県教育委員会の所管課や各教育事務所に開設し、国際教育を担当する指導主事が迅速に対応してまいります。
さらに、総合教育センターでの研修に加え、来年に開所する国際言語文化アカデミアが行う研修なども活用して、教員の研修の充実を図ってまいります。
県教育委員会といたしましては、こうした取組みにより、直接、外国籍児童・生徒の指導に当たる教員への支援を一層充実させてまいります。

(3)要望

多文化共生について、多文化ソーシャルワーカーという、多分全国初かどうかわからないが、素晴らしい名前を冠した人員を配置してくださるということ、ありがとうございます。
私も、現場で何日かボランティアで参加しておりますが、現場はたいへんな生活苦の方や、ある意味では、言語がなかなか通じない、例えば、法律のことなどになると対応できないものも多くあり、その中でボランティアの方は一生懸命やっていらっしゃる。そういう中で、もうひとつ、そういう方たちを引っ張っていくリーダー的な方たちを養成していただくというのは大変にありがたいことでございますので、ぜひとも、多文化ソーシャルワーカーをある意味で全国の模範となるような形にしていただければ幸いかと思います。