公明党神奈川県議団

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精神障害者の在宅支援について

小野寺 慎一郎 議員(横浜市旭区)

(1) アウトリーチによる支援事業について

医療や福祉につながることなく、地域の中で孤立している精神障害者は精神疾患を自覚していないことが多い。市区町村も人権配慮等から有効な手を打てず、迷惑行為等がエスカレートし、警察官による精神保健福祉法第24条の適用で、初めて専門医の診察を受ける人や、医療を中断したまま、症状を悪化させてしまう人がいる。
国では、自ら専門機関に相談できない精神障害者に対し精神科医や臨床心理士等で構成する多職種チームが訪問支援を行う事業を平成23年度から全国25ヶ所で行うとのことで、本県はその対象から漏れてしまったが、県として積極的に取り組むべきと実感している。
そこで、在宅精神障害者の生活を支えるため、医療を含む多職種チームによる訪問等は極めて有効で、本格的な実施が必要と考えており、来年度、精神障害者アウトリーチ支援に係る調査事業を実施すると聞いているが、今後、県として、具体的にどのように市町村ニーズを把握し、医療や福祉につながっていない精神障害者に手を差し伸べていこうと考えているのか、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

精神障害者の在宅支援として、アウトリーチによる支援事業についてのお尋ねをいただきました。
精神障害者への支援につきましては、現在、保健福祉事務所を中心に、本人や家族から病気の治療や療養についての相談などを受け、医療機関につなげたり、また市町村では、ホームヘルプサービスなどの福祉サービスを提供しております。
しかし、自ら治療を中断するなどして、医療や福祉の支援を受けることができず、生活に支障をきたしている精神障害者もおり、こうした方への支援が必要となってきております。
このため、県では、生活に困難さを抱えた精神障害者に対し、訪問して相談するなど積極的な支援を行うため、来年度から「アウトリーチによる支援事業」をモデル的に実施することといたしました。
具体的には、3箇所の保健福祉事務所において、精神科医や精神保健福祉士などの専門家によるチームを設置し、家族や市町村等からの相談に応じて、家庭を訪問し、本人との相談や情報提供などを行い、必要に応じ、医療や福祉等のサービスにつなげていくというものです。
また、このモデル事業では、地域で生活している精神障害者の潜在ニーズなど、基礎的な実態の把握も行ってまいります。
今後は、このモデル事業や調査の結果を基に、保健福祉事務所を中心に、市町村や医療機関などと連携し、精神障害者が、地域でその人らしい生活が送れるよう「アウトリーチ支援」の本格的な実施に向けて、準備を進めてまいります。

(2) 重度精神障害者に対するACT(包括型地域生活支援プログラム)について

ACTは、重い精神障害を持つ人が住みなれた地域で安心して質の高い生活を送れるように365日、24時間体制で保健・医療・福祉のサービスを提供するプログラムである。
現在、わが国の病床数は約170万床といわれ、そのうちの約35万床が精神科病床で、長期入院を余儀なくされている方もいる。ACTが普及し、精神障害者のケアが病院中心から地域中心へと移行すれば精神科医療のコストの縮減も可能であると考える。
しかし、「地域生活中心の精神保健医療福祉へ」という掛け声をよそに、地域社会の中に自ら出向いて活動する医療や福祉スタッフの数は、まだわずかである。
そこで、重度精神障害者のケアを入院中心から地域生活中心へと移行させることは、県の地域精神保健福祉行政にとって最重要課題であり、県としてACTの活動を促進するような働きかけが必要と考えるが、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

重度精神障害者に対する包括型地域生活支援プログラム、いわゆるACTについての、お尋ねがありました。
精神障害者への支援につきましては、「入院医療中心から地域生活中心へ」という精神  保健福祉法の理念のもとで、退院を促進し、医療や保健・福祉サービスを提供するなど地域移行の取組みが進められております。
重度の精神障害者の方についても、地域でケアを受けながら生活することは重要でありますが、必ずしも十分な支援体制が整っていない状況です。
お尋ねのACTは、入退院を繰り返したり、長期入院をしている重度精神障害者が、地域の中で暮らせるように、医師や精神保健福祉士などの様々な職種の専門家が、チームを組んで支援するというしくみであります。
平成15年に日本で初のACTチームが誕生し、現在、個々の医療機関が中心となって、全国で10数箇所の活動が行われています。
県内でも昨年10月には、精神障害への理解を深めるため、精神障害者の家族会が主催し、本県も後援して、「ACTを考える県民のつどい」が行われ、約460名の方の参加がありました。
また、医療・福祉関係機関が連携して、ACTチームの活動を目指した実践が行われ始めた地域もございます。
県といたしましては、重度の精神障害者が住みなれた地域で安心して暮らしていくための支援の一環として、医療機関などにおいて、ACTについて取り組んでいただけるよう、必要な情報提供に努めてまいります。