公明党神奈川県議団

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障害者の観光・旅行支援について

小野寺 慎一郎 議員(横浜市旭区)

(1)「観光立県かながわ」にふさわしい情報発信とホスピタリティの向上について

本県では、「観光立県かながわ」の実現を目指すため観光振興条例を制定しているが、観光旅行者を迎える体制づくりとして、障害者や高齢者等にも配慮した  「ユニバーサルツーリズム促進に向けた環境整備」の取組を観光振興計画に位置付け、様々な施策を展開しているが、外国人旅行者に対する誘客促進と比べ、障害者や高齢者を積極的に迎え入れようという姿勢があまり感じられない。
観光関連施設のバリアフリー情報をウェブサイトで発信しているが、発信の仕方が無機質かつ義務的である。情報発信には、観光事業者や当事者の障害者等の協力が不可欠であり、県の主導で情報発信の革新を事業者等に呼びかけていくべきと考える。
そこで、観光地や観光関連施設のバリアフリー情報を、障害者や高齢者のニーズに合ったきめ細かいものにするため、ホームページのリニューアル及び充実を図る必要があると考えるが、所見を伺いたい。また、観光事業者等に対し、新しいホームページ作成への協力をお願いする説明会等を通し、地域のホスピタリティ向上を図るべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

松沢知事答弁

観光立県の実現にあたっては、誰もが安全かつ容易に観光旅行ができる環境整備が重要であり、観光振興条例においても、この旨を基本理念として定めております。
そこで、本県では、県観光協会のホームページでのバリアフリー情報のほか、「かながわ再発見キャンペーン」のパンフレットに、段差や点字表示、障害者の利用に配慮したエレベーターの有無などの情報を掲載してまいりました。
今後、ホームページなどのバリアフリー情報については、障害のある方が一層使いやすくなるよう、内容や表記方法などについて、福祉関係のボランティア団体や観光事業者の意見も聞きながら、具体的に検討してまいります。
また、宿泊事業者や鉄道事業者などで構成する「観光立県かながわ推進連絡会議」や、観光人材の育成を目的とした「かながわ移動観光大学」を通じて、バリアフリーへの理解が進み、地域のホスピタリティが向上するよう、呼びかけてまいります。
引き続き、誰もが安全で容易に観光できる「観光立県かながわ」を目指して、関係機関と連携しながら、取り組んでまいります。

(2) 障害者が利用しやすい宿泊施設の確保について

旅館等の宿泊施設のバリアフリー化や障害特性への理解の浸透等が十分ではないため、障害者が旅行先で不自由を感じることなく宿泊することができる環境が整っているとはいい難い状況である。
そうした中、昨年3月に障害者のための保養所として設置されていた大文字荘が閉鎖された。ノーマライゼーションという考え方に照らせば、障害者も特定の保養所ではなく、一般の旅館等を利用すべきなのかもしれないが、障害者がどんな宿泊施設でも気兼ねなく安心して利用できる環境が整わなければ、それは単なる建前論に過ぎない。「観光立県かながわ」の実現を目指す本県にとって、障害者の宿泊環境づくりは避けて通れない課題である。
大文字荘が培った障害者の宿泊に関するノウハウやアイデア等の情報を、一般の宿泊施設に継承する取組を行い、そうした活動を通して、障害者が利用しやすい宿泊施設の確保に努めていただきたいと考えている。
そこで、障害者が利用しやすい宿泊施設の確保について、どのように進めていこうと考えているのか、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

障害者が利用しやすい宿泊施設の確保について、お尋ねがございました。
障害者が旅行した際に、旅館やホテルなどで安心して快適に過ごせる宿泊施設づくりを進めていくことは、重要なことだと考えております。
このため、県では「みんなのバリアフリー街づくり条例」を定め、宿泊施設では、出入口の段差の解消や廊下・階段への手すりの設置、車いす対応の客室や浴室などバリアフリー化の推進を図ってまいりました。
また、既存の宿泊施設は構造や費用の面から、大規模な改修が難しい場合がありますが、設備や備品など工夫して補っていくことも可能であります。
さらに、快適に利用していただくためには、ハード面だけでなく、接客サービスなどソフト面で障害者へきめ細かく配慮することが求められています。
そこで、宿泊施設の皆さんに取組みを進めていただくため、県では、受付での対応や、客室・浴室での備品の工夫、食事や緊急時の配慮などをわかりやすくまとめたガイドラインと、実践的な事例集を本年3月中に作成してまいります。
作成に当たっては、障害者へのアンケートや宿泊施設へのヒアリングを実施するとともに、障害者団体や、障害者の宿泊のノウハウのある大文字荘の関係者をメンバーとする検討会を設け、さまざまな角度から意見をいただいております。
今後、このガイドラインと事例集を、宿泊事業者をはじめ、市町村や福祉、観光関係の団体などに、幅広く提供し、積極的に活用していただけるよう働きかけてまいります。
また、障害者に配慮した宿泊施設情報の充実とともに、障害者の利用促進について宿泊事業者に協力要請するなど、今後とも障害者が利用しやすい宿泊環境づくりに努めてまいります。