公明党神奈川県議団

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知事の政治姿勢について

渡辺 均 議員(藤沢市)

地方分権改革について

第1次一括法は、地方自治体の自由度を高め、地方の創意工夫を生かした住民本位の施策を推進する上で不可欠な義務付け・枠付けの見直しを行うもので、重要性が非常に高いと考える。
これまでは、例えば道路の構造の技術的基準など、国が定めていたが、県や市町村の条例等で定めることで、独自性を取り入れることが可能となる。基準を定める際に、県民、関係する事業者や団体の意見を聴き、十分に理解を得る努力が求められ、また、条例で定めた基準が県と市町村で異なることもありうるので、市町村と十分に意思疎通を図る工夫が必要である。また、国と地方の協議の場が果たしていく役割を担う場を、本県においても設け、県と市町村が議論することも、一つの「神奈川モデル」として考えてもよいのではないかと思う。
そこで、
【1】第1次一括法の成立を受け、本県では今後の条例を含めた各種の基準の策定等に当たり、県民への説明や関係団体との調整など、どのように取り組んでいくのか、
また、
【2】市町村とどのように調整を進めていこうとしているのか、
併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

渡辺議員のご質問に順次お答えしてまいります。
はじめに、知事の政治姿勢について何点かお尋ねがありました。
まず、地方分権改革についてです。
第1次一括法に関する県民への説明や関係団体との調整などの取組について、お尋ねをいただきました。
このたび「義務付け・枠付けの見直し」によって、地方自治体が、条例で施設の設置や管理の基準を定めることができるようになります。
そこで、神奈川の実情に応じた基準作りに当たって、案の策定段階では、かながわ県民意見反映手続の実施はもちろんのこと、関係団体や事業者の皆様から、さまざまな機会を活用して、広く意見を聴いて進めてまいります。
また、条例や規則の公布後は、県のたより等あらゆる広報媒体や会議の場などを通じて周知を図り、その円滑な施行に努めてまいります。
次に、基準を定めるに当たっての市町村との調整についてです。
第1次一括法の趣旨を踏まえれば、市町村においても、地域の実情にあった基準を、自らの判断と責任で決定することとなりますので、結果として、県と市町村の基準が異なることも、十分考えられます。
しかしながら、見直された事務の中には、県民から見れば、基準をそろえた方が望ましいと考えられる事務もございますので、できるだけ早い段階から、県の考え方をお示しし、市町村と十分に調整してまいります。

事業の継続的実施について(1)

平成23年度の障害者の地域生活支援施策の予算総額は増額だが、メニューによって前年度より減額のものもあり、手当見直しで生み出した財源を地域生活支援の充実に十分活用できておらず、第1回定例会で公明党県議団の小野寺議員がこの点について指摘した。昨年12月に障害者自立支援法等が改正され、視覚障害者の移動支援などの充実が図られたが、障害者の地域生活をめぐる切実な状況は解消されておらず、県が取り組むべき施策は少なくない。
例えば、特別支援学校の障害児の通学支援は、十分な支援が行き届かず地域のバラつきもあり、県単独の施策を大幅に充実させることが急務である。また、精神障害者は、県の重度障害者医療費助成制度の対象になっておらず、地域で安心して適切な医療を受けられるよう新たな支援メニューを創設すべきと考える。
そこで、経過措置が終了する平成24年度においては、手当を見直した財源を十分に活用して、障害者の地域生活支援を一層充実すべきであり、仮に十分な施策を実施できないのならば、経過措置のさらなる延長も考慮せざるを得ないと考えるが、平成24年度の本格実施に向けて、知事の決意を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、障害者の地域生活支援についてお尋ねがありました。
障害者が、住み慣れた地域で、安心して心豊かに暮らすことができるよう、障害者の生活を支えていくことは、大切なことであり、いのち輝くマグネット神奈川を実現するために、大変重要であると考えております。
このため県では、在宅重度障害者等手当制度の見直しと併せて、平成22年度から、「障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づいて、障害者が地域において生活するための支援の充実に取り組んでおります。
平成23年度は、重度障害者のため、デイサービスの事業所や住まいの場であるケアホームの新設、医療的ケアの研修の充実などを新たに位置づけ、平成22年度から実施しているグループホームの設置推進や、介護者の休養を支援するサービス、いわゆるレスパイトの充実などの事業も含め、プログラム大綱事業に取り組んでおります。
また、具体的にお話のあった、特別支援学校に通う障害児の通学支援や、重度障害者の医療費助成制度の対象に精神障害者が加えられていないことなど、今後、検討していくべき課題は、まだあると考えております。 
まず当面は、市町村と連携して、プログラム大綱に位置づけた事業に、今年度、しっかりと取り組んでまいります。その上で、事業の実施状況を見ながら、平成24年度の取組みについて改めて検討を行い、障害者が地域において生活するための支援の充実に努めてまいります。

再質問

障害者施策について、具体的に通学支援とさらには精神障害者に対する医療受診、この具体的な提言も入れさせていただいて、質問をさせていただいたところです。この点につきまして、再質問をさせていただきたいと思います。
私は、前松沢知事が行ったことについて、知事との引継ぎの中で、黒岩知事は、松沢県政でできあがったものを、うまく使い、スピード感を増す、そのような発言をされています。そういう意味では、一連の質疑の中にもありましたが、知事のスピード感、この姿勢に対して期待をしているところであります。
また、松沢前知事は、どちらかというと、福祉政策については消極的だったと、私はこのようにとらえておりますが、黒岩知事は、「いのち輝く」と訴え、国際福祉大学でも教鞭を取っておりました。そういう意味では、知事の福祉政策に対する取組み、これを期待をしているところであります。
その上で、この重度障害者手当の見直しについては、要は県議会としても、実はさまざまな懸念があり、特に経過措置、さまざまな事業執行については懸念があり、議会としてさまざま議論をさせていただいた結果、経過措置、当初1年だったものを、2年に延長させていただいて、賛同をさせていただいた経緯があります。そういう意味では、その延長した期間について、さまざまな事業がプログラム大綱にもとづいて進捗しているのか、これをしっかりチェックしていく、これはわれわれ議会としての責任でもあります。そういう意味で、再三この点について質問をさせていただいている点であります。
それでは、財政的な話をさせていただきますと、この経過措置がなくなる平成24年度は、この手当見直し財源という角度で見れば、約40億円の財源が出てくるわけであります。当然、それ相当の事業が期待をされています。さらには、プログラム大綱を作った際には、当然関係者はそれ相当の期待をされています。しかしながら、平成23年、22年、各年度とも、約19億の見直し財源、これは半分ですね、に対して、約10億の事業しか執行されていません。さらには、平成22年度の障害者の地域生活支援事業費、総額は予算ベースで約30億ありましたが、うち手当見直し財源は約10億円でした。しかし実際に業務執行できたのは、執行率として、全体として30億の約9割弱、さらには、手当財源の部分については、約8割程度、こういう状況でありました。
このことを危惧して、われわれは議会のたびにこの問題を質問をさせていただき、そのことをこの23年度で真剣に取組んでいくという答弁はいただいておりますが、まことに心配をしています。
先ほどのご答弁の中で、今年度、通学支援についても、精神に対する医療費の補助についても、課題を整理をし、検討する、このようなご答弁はありましたが、この経過措置が今年度で終わってしまいます。ついては、可及的速やかに、24年度に対応できる体制を、また支援を、スタート、展開をしていく、就労、福祉に対する造詣と、また、スピード感に期待をするところでございますので、知事の決意を含めて、再質問、再答弁を願います。

黒岩知事再答弁

答えさせていただきます。まずは、障害児の通学支援についてであります。
特別支援学校へ通う障害児の通学支援につきましては、平成22年度、市町村が移動支援として事業を開始した場合の事業費に対する補助を創設しました。
昨年度、この事業を活用した市町村はありませんでしたが、今年度は3市町が通学支援に取り組み始めておりますので、引き続き、他の市町村に働きかけてまいります。
さらに、通学負担の軽減という視点で、教育委員会とも相談しながら、もう少し幅広く検討していくことも必要と考えております。
在宅重度障害者等手当の経過措置の延長という、このお話でございます。まず当面は、今年度、市町村と連携して、プログラム大綱に位置づけた事業にしっかりと取り組んで まいります。
その上で、事業の実施状況を見ながら、平成24年度の取組みについて改めて検討を行い、障害者が地域において生活するための支援の充実に努めてまいります。
それでもなお、かかる事業が活用されないという場合には、経過措置の期間を延長する、ということも議論をしていく必要があると考えております。
議員ご指摘のとおり、いのち輝くマグネット神奈川、という私の基準にもとづいて、今後の福祉政策を判断してまいりたいと考えております。

要望

残念ながら時間がありませんので、要望に終わらせていただきたいと思いますが、今、知事の答弁にもありました通学支援、これについて、今年も手を挙げた市町村があったというご答弁でございましたが、これも、新たな市町村を加えても、6市町であります。神奈川県下の特別支援学校が在住している市町は12市町もあります。そういう意味では、まだまだ足りない、そういう意味ではスピード感がないと思います。
さらには精神の医療費補助をしている市町は11市町に及んでおります。そういう意味では、この均てんを図るなどの意味でも、県がしっかり制度を、メニューを作るべきだということを、要望をさせていただきたいと思います。
それ以外についても、まだまだ要望をさせていただきたいこともありましたけれども、時間がきましたので、あとは常任委員会等でさせていただきたいということを理解していただき、私の質問を終わります。

事業の継続的実施について(2)

本県では、EVが量産・販売される前の非常に早い時期から普及に取り組み、EV普及の施策を積極的に展開してきた。EVの普及は、地球温暖化対策だけでなく、県内産業の活性化の観点からも必要と考えられるため、EVを取り巻く環境の変化を踏まえて、これまでにない視点も入れてEVの普及を進めていく必要がある。
6月補正予算案として、EVの使用済み電池を再利用する蓄電プロジェクトが提案されているが、それだけでなく、EVそのものを蓄電池として活用することで、家庭用太陽光発電パネルとEVとをセットにして施策展開することも考えられる。
そこで、EVの普及推進について、特に急速充電器の設置場所の偏在といったこれまでの課題に対して、どのように進めていくのか、所見を伺いたい。また、前知事が進めてきたEV普及の取組と、知事が掲げる太陽光発電パネル普及策とをうまくつないでいきたいとしているが、どのように施策展開するのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、電気自動車(EV)の普及についてのお尋ねです。
まず、急速充電器の整備についてです。
EVについては、平成20年4月に「EVイニシアティブかながわ」を策定し、2014年度までに、EVの普及目標を県内3,000台にするとともに、急速充電器を県内に100基整備することとしております。
その整備に当たっては、EVユーザーが、自宅など車の保管場所で200V(ボルト)の普通充電を行うことを前提に急速充電器は緊急時と想定しました。この想定に基づき、10㎞(キロメートル)四方に1基を整備するとともに、利用しやすい主要幹線道路沿いや、高速道路のサービスエリア等への整備を促進してまいりました。
その結果、今年5月末の時点で95基整備されており、総数はもとより、主要幹線道路沿い等への整備については、ほぼ目標を達成したと考えておりますが、10㎞四方に整備がされていない地域も一部残っておりますし、整備済みの地域においても、距離が遠い、夜間の使い勝手が悪いなどの声もあります。
そこで、これまでに整備した急速充電器の利用状況や、EVユーザーのニーズ等を調査し、保管場所以外での充電網の今後の整備について、民間事業者との役割分担も含めて検討を行ってまいります。
次に、EV普及の取組と太陽光発電パネル普及策との連携についてです。
東日本大震災が発生した際に、100Vの交流電源用コンセントを装備した車が、非常時の電力供給源として活躍したことが注目されました。
これを受けて、自動車メーカーでは、EVの電池で炊飯器などの家電製品を使えるような装備、さらには、住宅に電気を送り込む機能を、EVに追加するような検討が行われていると聞いております。
EVの蓄電池を家庭に接続できるようになると、太陽光で発電した電力を一旦EVに蓄電して、夜間や非常時に利用することも可能となります。
そこで今後は、県が中心となり、太陽光発電とEVの関連企業が連携し、太陽光発電とEVの一体的な普及や、両者を組み合わせた電力の効率的な使い方の検討などに、取り組みたいと考えております。
併せて、EVで一定期間使用後の電池を、家庭用蓄電池として再利用し、太陽光発電設備と組み合わせた実証試験を行う「蓄電プロジェクト」を、6月補正予算案に提案しており、こうしたことも、EVと太陽光発電普及の取組をつなげる、もうひとつの方向として進めていきたいと考えております。

事業の継続的実施について(3)

知事は、選挙で「グローバル企業を引き付けよう!」、「海外の企業誘致等の先頭に立ちます。」といった政策を掲げた。
こうした考え方は十分に理解できるが、神奈川の地域経済を支えているのは中小企業であり、中小企業に目配りをした政策を考えていく必要がある。その意味では「インベスト神奈川2ndステップ」の取組をより一層強力にアピールしていくことが重要となるが、現在の社会経済情勢も踏まえ、企業へのインセンティブがより強く働くよう、制度内容の一部を見直すことも必要である。例えば、事業認定の要件緩和など、企業が支援策を受けるためのハードルを下げることなどの措置や、ソーラープロジェクトとの連携といった視点も加味することも考えられるのではないか。
そこで、これまでの企業誘致の実績や、現在の企業を取り巻く環境の変化、さらに本県が目指そうとする方向性を踏まえて、企業誘致にどう取り組んでいくのか、また、今後、「インベスト神奈川2ndステップ」をどのように展開していくのか、併せて所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、インベスト神奈川についてお尋ねがありました。
本県では、これまで、全国トップクラスの助成金や、きめ細かなワンストップサービスにより、市町村とも連携を図りながら企業誘致に取り組んできました。
その結果、県内には日本を代表するグローバル企業の研究所や、高い技術力を有する中小企業の新たな生産拠点など数多くの企業が立地し、本県の産業経済の活力の維持・向上に寄与したものと認識しています。
もとより、企業誘致は、中小企業振興などの地域経済の活性化、雇用の創出、そして税収の確保など、多面的な効果をもたらすものであり、中長期的な視野に立ち、今後とも力を入れて取り組む必要があると考えています。
次に、昨年からスタートした「インベスト神奈川2ndステップ」の今後の展開についてのお尋ねがありました。
これまでの企業誘致の成果を踏まえ、「2ndステップ」では「企業立地に対する直接支援」から「立地後の成長支援」へと力点をシフトするとともに、「がんばる中小企業への支援強化」をコンセプトとしており、これまで10社の立地計画を認定しました。
しかしながら、円高の進行や東日本大震災の影響など、企業を取り巻く状況は厳しいものがあり、新たな工場建設など、設備投資に対する意欲が低迷しているのも事実です。
このような状況を背景に、企業の方々からも、事業認定にあたっての最低投資額の要件緩和や対象業種の拡大など、認定制度に対する意見をいただいています。
ご指摘のあったソーラープロジェクトとの連携も含め、こうした課題について検討し、県内外の企業、中でも神奈川の地域経済をしっかりと支える中小企業にとって「インベスト神奈川2ndステップ」がより使いやすい制度となるように取り組んでまいります。