公明党神奈川県議団

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地震防災対策について

渡辺 均 議員(藤沢市)

被災者支援システムの導入推進について

「被災者支援システム」は、住民基本台帳、家屋台帳、被災状況の情報を一括管理することで、迅速に被災者支援ができ、このシステムを利用した宮城県山元町では、周辺自治体と比べ、スムーズに「り災証明書」を発行したなどの効果が上がっているとのことである。
震災後、新たに東北3県で30近くの自治体、全国でも約140の自治体が、既に導入または準備を進め、県内自治体でも導入済みが3団体、検討中が10団体で、全国的に導入機運が高まってきている。
こうしたことから、このシステムを県内の多くの自治体で活用していただきたいが、今回の大震災でも実証されたように、被災者は市町村域を越えて広範囲に避難し、遠隔地に避難した被災者への支援のために、避難先自治体との情報共有が課題になると考えている。
そこで、この「被災者支援システム」を導入する市町村は多くなってきており、本県の市町村においても導入を促進していくべきと考えるが、広域的な避難に伴う自治体間の連絡調整などへの県の関わりなども含めて、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、地震防災対策について何点かお尋ねがありました。
まず、「被災者支援システム」の導入推進についてです。
このたびの東日本大震災では、津波により多数の死者、行方不明者や、広範囲にわたる壊滅的な建物被害が発生するとともに、市町村の庁舎や職員も被災したことで、避難所への救援物資の供給や、生活再建に必要となる「り災証明書」の発行が困難な事例も多くあります。
「被災者支援システム」は、住民の氏名・住所や、家屋に関する情報を、あらかじめ登録しておくことで、「り災証明」の発行、避難所や応急仮設住宅の管理など、市町村が行う被災者支援業務を処理するシステムです。
実際、今回の震災では、岩手県宮古市と福島県須賀川市が、このシステムを利用して、各部署で別々に入力していた住民情報を、一元化して活用することで、作業効率が向上したとの報道がされています。
本県では、現在、3つの市町が「被災者支援システム」を導入しております。このシステムを導入した市町からは、個人情報を扱うことから、部署や職員をあらかじめ定めておくことや、また、大規模自治体では既存システムとの整合性を図ることが課題であると聞いています。
また、広域避難に伴う自治体間の連絡調整につきましては、今回の震災では、被災市町村が、被災者の避難先を把握できないといった課題が生じたため、国は、避難者の情報を、都道府県を通して被災市町村に提供する「全国避難者情報システム」を、本年4月に構築したところです。
市町村における「被災者支援システム」の利用については、4月に設置した「県・市町村地震災害対策検討会議」などを利用して、「全国避難者情報システム」と併せて市町村と情報を共有し、意見交換を行い、促進に向け取り組んでまいりたいと考えています。

防災行政無線等の充実・強化に対する支援について

東日本大震災では、地震発生直後に巨大な津波が襲来したため、自治体の災害情報の伝達のあり方が、あらためて問われることとなった。
防災行政無線は、従来から無線通信の高度化のためのデジタル化や、聞こえにくい地域の解消等の課題とともに、今回の震災では、停電により情報伝達が不能となると いった事象も発生したと聞いている。
また、相模湾近海を震源とする大地震が発生した場合には、津波情報の迅速、的確な伝達にあわせ、一時的に避難できる場所を確保することも重要と考える。県は、昨年度まで地震防災対策に活用してきた法人二税の超過課税について、今年度からは、道路等の社会基盤整備に重点的に活用することとしたが、東日本大震災を踏まえると、引き続き、災害時の情報伝達体制の充実や緊急的に避難する津波タワ-の整備など津波対策に積極的に取り組む必要があると考える。
そこで、住民への災害情報伝達や、避難誘導等は市町村が担うこととなるが、防災行政無線の整備や緊急的な避難場所の確保など県も市町村を支援し、対策を進める必要があると考えるが、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、防災行政無線等の充実・強化に対する支援について、お尋ねがありました。
非常時において、住民に対して緊急情報を一斉に伝達する市町村の防災行政無線は、災害時の情報伝達方法としては、基本的なものです。
しかし、実際に津波に襲われた地域では、防災行政無線が「聞こえなかった」、あるいは「聞きとれなかった」と言われております。また、このたびの震災を踏まえると、無線局施設の耐震化や、停電時における電源の確保といった課題もありました。
津波避難対策については、海辺にお住まいの方々や、夏の海水浴シーズンを控え、海に訪れる人たちの安全を確保するうえで、早急に取り組むことが求められています。
そこで、6月補正予算を計上し、防災行政無線に関する調査をはじめ、避難所案内看板や海抜表示板等の設置、避難ビルに関する調査など、市町村が緊急的に行う事業の支援に取り組んでまいります。
また、今後進める津波対策につきましては、県・沿岸市町等で構成する「津波対策推進会議」や、有識者による「神奈川県地震災害対策検証委員会」で検討を始めたところです。
今後は、こうした場において、市町村の津波避難に関するソフトやハードの事業について検討し、連携・協力を図る中で、対策を進めてまいります。

県内中小企業の事業継続計画(BCP)作成支援について

本県では、BCPの普及啓発に努め、中小企業向けに「BCP作成のすすめ」の発行などに取り組んできた。しかし、平成21年度の県の調査では、BCPを作成している中小企業は、作成予定のものを合わせても約3割であり、その後も思うように増えていないのが実情である。BCPを作成する企業が増えない理由として、内閣府が平成21年度に実施した調査では、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」ことなどが挙げられているが、一方で、今回の大震災を受け、県が実施した調査では、BCPの必要性を感じている企業は、全体の半数にのぼっている。
そこで、BCP作成に向けた気運が高まってきている今こそ、支援ツールの見直しや普及、指導体制の充実など、中小企業のBCP作成支援に係る取組を強化する必要があり、こうした状況を踏まえ、本県における中小企業のBCP作成を促進するために、今後、県として、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

次に、県内中小企業の事業継続計画BCP作成支援についてお尋ねがありました。
BCPの作成は、地震などの緊急事態が発生しても、重要な業務の早期復旧が可能となるほか、取引先や市場からの評価が向上するなど、企業にとって様々なメリットがあります。
県としても、中小企業が安定した経営を続ける上でBCPは重要と考えており、これまで、BCP作成のためのハンドブックの策定や、各地域の商工会議所と連携したセミナーの開催など、普及、作成支援に努めてまいりました。
しかしながら、東日本大震災を受けて、県が4月に実施したアンケート結果では、行政に対してノウハウの提供や普及活動などを期待する声も、なお多く寄せられており、今後も、一層の取組が重要と考えております。
また、今回の震災では、既に作成していたBCPでは想定していなかった計画停電などが発生したことから、そうした事態にも対応するため、BCPの見直しが必要となっています。
このため今後は、計画停電や部品不足など、自社に被害がなくても操業が中断される事態への対応を強化するなど、より効果的なBCPの作成に役立つハンドブックにしてまいります。
また、日頃、中小企業に接している商工会議所の経営指導員や、中小企業診断士などを対象にした専門研修を実施し、新たに100人を超える規模の普及、指導人材も育成することで、中小企業のBCP作成を積極的に促進してまいります。