公明党神奈川県議団

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防災・減災への取組みについて

佐々木 正行議員 (相模原市)

質問要旨

(1)海水浴場の避難対策について

ピーク時には一日十数万人もの利用がある本県の海水浴場では、津波避難対策としては、避難施設の確保に加え、地震や津波に関する情報を伝え、安全な場所に避難誘導を図る避難対策が何より重要である。
本県の海岸線は15の市町に及び、500万人以上の海水浴客が全国各地から来訪することなどを踏まえると、県が沿岸市町との連携で、津波避難に関する啓発や情報提供などの対策を進める意義は大きい。
また、避難誘導を円滑に行うためには、公的機関だけの取組みでは限界があり、民間の事業者や団体の協力が不可欠である。
本県は、地震災害対策推進条例(仮称)の制定を目指しているが、条例制定を機に、海水浴場における避難対策の強化が望まれる。
そこで、海水浴場の避難対策は、本県の地震災害対策にとっても重要な課題だと考える。県として今後、具体的にどのように進めていくのか、所見を伺う。

(2) 地域県政総合センターにおける現地災害対策本部機能について

地域県政総合センターは地域に密着した機関であり、県民や市町村からの距離感も小さく、地域の災害情報や県民のニーズも把握しやすい立場で、市町村との関わりも深く、市町村との連係の結節点となりうる機関でもある。
こうした地域の要となる地域県政総合センターを中心とした現地災害対策本部の機能強化を図るべきであり、現地災害対策本部の役割や機能を整理し、職員に周知徹底を図るとともに、実際に訓練を通じて、体得していく必要がある。
そこで、災害時に地域県政総合センターに設置される現地災害対策本部の機能の強化が必要だと考えるが、今後どのような考え方で進めていくのか、所見を伺う。

(3)本庁庁舎の地震・津波時避難について

県では、今年3月に「津波浸水予測図」を示したが、それによれば、本県で最大クラスの津波を生じる「慶長型地震」の場合には、本庁庁舎周辺も津波により浸水すると予測されており、津波警報が発表された場合に、来庁者、職員等が速やかに避難しなければならない。
国は、今年7月に「津波避難対策の基本的考え方」をまとめ、まさに「素早い避難は、最も有効で重要な津波対策である」としている。
津波からの避難は一刻を争うものであり、また約3,000名の職員と、多くの来庁者がいる中で整然と行われなければならない。
県として、津波を引き起こす大規模地震発生の切迫性を踏まえ、本庁庁舎における新たな避難誘導体制とその訓練が必要と考える。
そこで、本庁庁舎において、地震・津波時に在庁者、職員を避難誘導するためにどのような体制を整えるのか、またそのための訓練にどのように取り組むのか、所見を伺う。

黒岩知事答弁

次に、海水浴場の避難対策についてお尋ねがありました。
本県は、東京湾及び相模湾に面し、特に湘南海岸や三浦海岸などの海水浴場には、県内外から数多くの方が訪れており、津波避難対策は、喫緊の課題となっております。
そこで、本年4月に修正した地域防災計画・地震災害対策計画においても、海水浴場など沿岸地域における津波対策を強化し、県、沿岸市町、民間事業者や団体と連携した取組みを進めているところであります。
具体的には、まず、「津波避難施設の確保」です。市町の津波避難ビルの確保については、民間事業者の協力を得て、東日本大震災前の平成22年の約100箇所が、現在、約720箇所まで確保が進んでおります。
また、県では、7月に県立湘南海岸公園に津波避難タワーをモデルケースとして設置しましたが、引き続き、港湾等への避難施設の整備を図るとともに、市町の避難施設整備を支援していきます。
次に、「津波に関する情報の伝達」ですが、県は津波情報看板の整備、津波警報の携帯電話への一斉メール配信などに取り組むとともに、沿岸市町による防災行政無線の整備への支援に努めてまいります。
また、民間団体と連携し、海岸利用者に避難を呼びかけるオレンジフラッグの普及を図っていきます。
さらに、「津波に関する知識の普及」に関しては、本年3月に策定した新たな津波浸水予測図に基づき、沿岸市町の津波ハザードマップの整備を促進いたします。
また、7月には、市や国の機関、関係団体の参加のもと、逗子海岸の海水浴場などで、私も参加して、津波避難訓練を実施しましたが、今後も市町と協力し、沿岸各地域での避難訓練を充実していきます。
津波による被害の軽減には、こうした行政による「公助」のほか、県民や事業者の「自助」、「共助」による取組みの促進が不可欠であります。県は、新たに制定を目指す条例に津波対策を位置づけ、沿岸地域の県民や事業者の方々との協働による津波避難対策の充実を図ってまいります。

次に、現地災害対策本部の機能強化についてお尋ねがありました。
県は、大規模災害の発生に備え、災害対策本部の設置に関し、各局の業務や職員の参集体制などを定めた配備編成計画を整備しており、出先機関も含め県庁組織を挙げて災害対応を行うこととしています。
この中で、地域県政総合センターは、地域における災害応急対策の前線基地となる現地災害対策本部の中枢を担うこととなります。
特に、災害発生後の初動期は、他の地域からの大規模な応援が期待できないことから、現地災害対策本部で、管内の市町村と連携し災害に対応する必要があります。
このため、本年3月に締結した、県・市町村間の相互応援協定においても、県は現地災害対策本部で、市町村の被害情報の収集や相互応援の調整を行うこととなっております。
この協定の実効性を高めるため、現在、県から市町村に派遣する連絡員の情報収集活動や、相互応援の手順等の詳細を定めるマニュアルの策定を進めています。
また、現地災害対策本部の活動に関する訓練を通じて、職員の能力の向上を図ることも重要であります。
これまでも、職員の緊急参集訓練や、自衛隊等の広域応援部隊の集結場所となる広域防災活動拠点の開設訓練などを実施してきました。
今後は、県・市町村間の協定をもとに、被害情報の収集や、市町村、防災関係機関が行う応急活動の調整など、より実践的な訓練の充実に努めてまいります。
また、現地災害対策本部の活動をバックアップする体制の強化も必要であり、厚木の総合防災センターや足柄上合同庁舎を県内各地域の後方応援拠点に位置付け、備蓄資機材の充実を図ります。
これらの取組みを通じて、災害対応力の強化など、現地災害対策本部の機能強化を図ってまいります。

次に本庁庁舎の地震・津波時の避難について、お尋ねがありました。
昨年3月の東日本大震災を契機に、あらためて、地震・津波発生時の正確な情報把握と、的確・迅速な避難体制の確立が求められております。
このため、新たに「本庁庁舎防災本部」を設置し、地震、津波、火災時の庁舎内での対応を定めた「本庁庁舎消防計画」に位置づけることといたしました。
この本部の下に、「地震津波対策隊」として、迅速な情報提供、庁舎の被害把握、継続使用の判断、避難の要否の決定、各庁舎からの避難誘導、負傷者の救護など、それぞれの役割を担う組織と職員を指定し、来庁者・職員の安全な避難を一元的に行う体制を整えたところであります。
この新たな体制を点検するため、震度6クラスの地震と大津波を想定し、本庁庁舎の職員の45%にあたる約1,350名が参加して、本庁舎と第二分庁舎の3階以上に避難する訓練を8月29日に実施いたしました。
避難は、想定される津波到達時間100分に対して、55分程度で全員が完了し、また、階段やロビーでの大きな混乱もありませんでした。
その一方で、一部の職員に自らの役割や避難先の周知が行き届いていなかったり、避難が長時間に渡った場合のスペースの確保などの課題が明らかになりました。
今後、職員の防災意識向上のための研修を行い、年内に再度訓練を実施することを予定しております。
その結果を踏まえ、横浜市など関係機関との調整も行いながら、「大規模地震・津波時の対応マニュアル」を策定し、地震・津波発生に備えてまいります。