公明党神奈川県議団

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予防接種に関する協議の場の設置について

高橋 稔 議員(横浜市港南区)

質問要旨

感染症は、ひとたびまん延すると、個人の健康に重大な影響を及ぼすだけでなく、広く社会経済生活に大きな影響を与える。
予防接種は、感染症の最も基本的かつ効果的な対策の一つであり、県民の生命と健康を守る重要な手段であるが、副反応の可能性もあり、慎重な対応を求める意見もある。

アメリカでは、「ワクチン接種の実施に関する諮問委員会」という組織があり、ワクチンの安全性や効果等について協議し、政府に提言を行っているが、わが国にはこうした組織はない。
県では、「医療のグランドデザイン」や「神奈川県保健医療計画」において、予防接種に関する県レベルの方針等の調整を目的として、現場の予防接種医や感染症の専門家、行政との定期的な協議の場、神奈川版ACIP(※)を設けることとしている。

そこで、予防接種については、立場の異なる方々が定期的に協議を行うことのできる場を設けることは非常に意義のあることだが、こうした協議の場の設置に向けた、現在の検討状況を伺いたい。

※ACIP…Advisory Committee on Immunization Practices:米国におけるワクチン接種に関する諮問委員会

知事答弁

予防接種は、単に県民個人の感染防御にとどまらず、感染症の流行防止という公衆衛生上の意義を有しており、医療費の節減にもつながるものです。
しかし、我が国では、アメリカのようなワクチン接種について協議・提言する諮問委員会、いわゆるACIPのような機関がなく、定期接種の種類は、WHOが推奨する標準ワクチンに比較して、少ない状況にあります。
少子化が進む中、予防接種を徹底し、子どもを育てることは、活力ある県の将来にもつながるものです。
そこで、県は、医療のグランドデザインや県保健医療計画の中で、「神奈川版ACIPの設置」として、感染症等の専門家と行政との定期的な協議の場を設けることとしています。
一方、国では、平成25年4月の改正予防接種法の施行に伴い、従来の予防接種部会を格上げした「予防接種・ワクチン分科会」を設置し、公募参考人を加え、予防接種施策全般について国民的な議論を行うこととしました。
本県は、この流れをさらに進め、既存の県感染症対策協議会とは別に、神奈川版ACIPを、予防接種に関係する現場の当事者が、自らの問題意識を基に、自由に討論できる研究会として、7月を目途に設置することとしています。
構成員は、現場の医師、感染症の患者団体、子育てのNPO、予防接種政策の経験者、マスコミの方などを予定しています。
この研究会の議論を報告書として取りまとめ、県内のワクチン行政の改善に役立て、さらに県から国へ提言を行うことにより、神奈川から今後の予防接種のあり方を発信していきたいと考えています。

再質問

ACIPのこの予防接種に関する協議の場の設置ありがとうございます。是非、このワクチン行政について、様々なご意見があることは承知しております。だからこそ、しっかりとこの協議の場で、神奈川版ACIPから国へのしっかりとした発信もしていけたらと期待しております。目的は不安の除去ということであろうと思っております。ワクチンは国防であるというふうなご意見もあると伺っております。

そういった意味ではこの点につきましてもう一言、7月に立ち上げていくわけですけども、ワクチンということに対する知事のご見解、もし、もう一言、二言付け加える点がありましたら、この際、伺っておきたいと思います。

知事再答弁

神奈川版ACIPに関して、ワクチンについての見解をということでありましたが、日本のワクチンは非常に遅れていると考えます。私自身が知事になる前に、厚生労働省の予防接種部会のメンバーでありました。何とかしてその遅れを取り戻さなければいけないということでありましたが、なぜ遅れたのかというと、やはり一番肝心なポイントでありますが、ワクチンというものは100%の安全ということはまずないということです。
副反応の事故というのは、これは避けられないということです。ただ、それがどのくらいの確率で起きるかということだということです。これまで、なぜ日本が後進国になってきたかというと、副反応事故が起きるたびに、メディアが大きく捕らえて、大変なことが起きたと、元気な子が死んじゃったんだと、非常にエモーションに伝えることによって、それが裁判になったりもして、そして基本的に国が負けるということになる。それでこんな危ないものはやめとこうということで、どんどんやめていったという歴史が実はありました。
そのときに、ひとり亡くなった時に、では何人打ったことにより、その副反応事故が起きたのかという、分母、これが実は日本の今の現状ではよく分からないということがあるわけです。そういうことによって、実は海外では普通に使われているワクチンの多くは日本で使えてないという状況になっている。
これを乗り越えていくには診療情報のオープンということ、我々は今、医療の電子化、電子カルテ、マイカルテということでお薬手帳の電子版から始めていますけども、そのビッグデータ、診療情報をどんどんオープンにしていって、そしてその分母がはっきりと分かってくるような、そういう透明性ということを同時に進めていかなければ乗り越えていけない問題だということです。
最近、新しく子宮頸がんワクチンをやってみたら副反応が起きたということで、さあどうするのかといった時に右往左往するという、今までの歴史がまた繰り返されるということであります。
ですから、その情報をしっかりと皆で共有できるような体制づくりと同時に、そもそもワクチンは何なのかということをしっかりと皆様とともに共有していくことが大事だということを私は思っております。