公明党神奈川県議団

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神奈川科学技術アカデミーにおける各種先端研究の活用について

西村 くにこ 議員(川崎市川崎区)

質問要旨

「神奈川科学技術アカデミーにおける各種先端研究の活用について
KASTでは、4月に「川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)」に研究拠点を設け、京浜臨海特区内での研究をスタートしているが、ライフイノベーションにふさわしい、非常に革新的で有益な研究活動を行っていると感じており、中小企業を含めた産業振興や、県民の健康の維持向上に貢献するために、一層の研究の加速化を期待している。
もとより研究というものは成果が出るまでに時間がかかるものであり、それ故に、その出口戦略がしっかりしたものでなければならない。
「光触媒」の研究では、その成果が製品化につながっているほか、光触媒材料の性能試験をJIS化して、KAST自らが性能試験サービスを展開し、中小企業支援につなげた例として、大いに評価する。

そこで、KASTは、特区に進出して新たな一歩を踏み出したわけだが、こうした画期的な研究の成果をどのように産業や県民生活につなげようと考えているのか、具体的な例を含めて、所見を伺いたい。

知事答弁

神奈川科学技術アカデミー、KASTでは、本県のライフイノベーションの実現に最新の科学技術の力を生かすため、本年4月に殿町区域の「川崎生命科学・環境研究センター、LiSE」内に新たな研究拠点を立ち上げました。
LiSEで実施している研究の具体的な例を申し上げますと、まず、遺伝子レベルで食品の機能性・安全性を評価する研究プロジェクトがあります。
食品の持つ健康に作用する機能を調べるには、今までは実際に長期間食べて調べるしかありませんでしたが、この研究は、遺伝子の変化を調べることにより、食品の持つ機能の全体を瞬時に解明するものです。
この研究により、食品の機能性・安全性を簡便かつ短期に評価する手法が確立されれば、食品に科学的根拠をもって「お墨付き」を与えることが可能になります。
この評価を活用すれば、信頼度の高い食品の神奈川ブランドの構築や、県内中小企業の新製品の開発、新規参入を促進することができます。
また、県民も安心して健康に有益な食品を選ぶことができるようになり、食により「未病を治す」取組みの加速につながるものと考えています。
次に、「血液中のがん細胞を検出する装置の開発」を行うプロジェクトについてです。
このプロジェクトは、血液中を流れるがん細胞に注目し、これまで検出が困難であった血液中のがん細胞を、少量、採取しただけの血液から検出し、15分程度でがんであるかどうかの診断を行うことを目指しています。
この診断技術が確立されれば、がんを早期に発見できる画期的ながん検診の展開が期待できます。また、この診断技術は、がんの種類まで特定できるので、抗がん剤の種類や投与量などの評価が可能になります。
こうして、県民のがん予防、がん治療のあり方を革新的に変えるだけでなく、診断機器を生産する医療装置産業への波及効果も期待されます。
KASTでは、これまでも出口を見据えた実用的な研究を展開してきましたが、LiSEにおける研究も、県民の健康増進や産業化に直ちに結びつけられるようにし、「未病を治す」というライフイノベーションの実現を加速化してまいります。