公明党神奈川県議団

ホーム所属議員 重点政策 活動リポート ニュース 本会議 常任委員会 特別委員会 ご意見・ご要望

長寿社会への対応について(2)認知症支援に関する今後の方向性について

赤井 かずのり 議員 (平塚市)

質問要旨

認知症の人を理解するのに弊害となる「徘徊」という言葉を見直すべきという記事。また、認知症の人達が、意見を社会に発信し政策に反映させることを目指した当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」は、本人や家族が希望をもってよりよく生きるための支援体制が十分整っていないことが設立の背景にあるという記事。この2つの記事に共通するのは、認知症になっても、本人の意思が尊重されるという、当たり前のことの大切さである。
本年 11 月、認知症に関する国際会議において、首相が新たな認知症対策の「国家戦略」を策定する方針を表明しており、認知症の人への支援も新たなステージへと入っていくと考えている。

そこで、認知症の発症への強い不安がある中、認知症になっても、本人の意思が尊重され、希望をもってよりよく生きられるよう、今後の支援のあり方をどのように考えているのか、所見を伺いたい。

知事答弁

認知症になっても、ご本人の意思を尊重しながら、穏やかに安心して暮らし続けることができるよう支援することが大切です。
そのためには、周囲の方の認知症に対する理解を進める必要があります。
そこで、県では、平成 17年度から、認知症サポーターの養成に取り組み、本年9月末現在で、その数は、約24万8千人にのぼっています。 しかし、最近は、認知症であると診断された直後は、不安から、絶望に陥る人が多く、この段階での支援が必要であるとの課題が、国のオレンジプランで指摘されています。
こうした課題に対する取組みとして、国では、今年度、医療や介護の専門職によるチームが、認知症の人やその家族に早期に関わり支援する認知症初期集中支援推進事業を創設しました。
県内では、現在、茅ヶ崎市がこの事業開始に向け、準備を進めており、県も市の検討作業へ職員を派遣させ、事業への助言や専門医との調整などにより支援しています。
こうした認知症初期段階の支援や認知症サポーターの養成を拡充し、認知症の方とその家族が、地域住民の理解と協力のもと、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる神奈川を目指してまいります。

再質問

認知症の支援に関する今後の方向性ということで、「認知症」は、かつては「痴呆症」というふうにいっていました。この言葉はすでに「認知症」ということで、認知されているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、高齢者に対する理解、「徘徊」という言葉、これも、今、様々なところで、いろいろな言葉が言われています。例えば「一人歩き」とか「お出かけ」といった、他の言葉に言い換えようというような、動きも出ています。
高齢者への理解を深めるために、ネガティブな表現の言葉、これをポジティブな表現に換えていく、こういうことが必要なのではないかと思うのですが、見解を伺います。

知事再答弁

先ほどご指摘がありました、この「徘徊」という言葉ですね。この言葉、たしかにネガティブなイメージだということでありまして、じゃあ、どんな言葉に置き換えればいいのかなということであります。さあ、どうでしょうね。私も、考えてみますけれども、「一人歩き」とか「お出かけ」といった言葉で、そういうふうにネガティブなイメージをまったく消してしまう方がいいのかどうなのか、そういった辺りを実は考えるべきかなという気がいたします。  「徘徊をする老人を抱えた家族」という言い方をすると、その家族に対して、非常にこう、大変なんだなという感じがいたしますけれども、「一人歩きをする老人を支える家族」「お出かけをしている老人を支える家族」というと、その問題点が、逆に伝わらなくなってしまう可能性もあるなといった中で、どういった言葉がいいのかなといったことを、皆さんと一緒にですね、考えていく大きな課題であるなというふうに思っております。

再々質問

認知症のご本人たちの当事者団体が立ち上がりました。これらの方々から、様々な話も伺いました。そうしますと、自分達の活動を広げる、そして、県としても連携を深めることが非常に大事であり、期待をしているということでした。
特にその中にありましたのが、認知症サポーター養成講座、先ほど、知事からも、サポーター養成講座、非常に増えてきているという話がございましたが、まだ、神奈川県は、率でいいますと、最下位に近い、こういうような状況であります。非常に少ない人数です。
そういう意味で、認知症サポーター養成講座等に、当事者団体の方、この方々を講師としてお迎えをする、こういうようなことも必要なのではないかというふうに思うのですが、この3点について、お願いします。

知事再々答弁

それから、認知症のご本人の方たちの、当事者団体が活動されているわけですけれども、その方たちの講義、講師としてお呼びするのはどうだろうかという話がありました。
私は、かつて認知症をテーマにした映画を見ました。その中で、まさに、その認知症のご本人が、講演をされているというシーンがありました。これは、たしかに有効な手段であるかなと私自身思っておりますので、こうしたことも、ぜひ検討していきたい、そのように考えております 。

要望

それでは、何点か要望を申し上げます。  まず、認知症を前向きに暮らす知恵とか工夫という言葉ですが、慶応大学の井庭准教授、この方が「旅のことば」というものをまとめました。認知症とともに、よりよく生きるためのヒントということで、パターン・ランゲージという、こういう手法を活用しています。世界初めての試みとして、先月の国際学会で発表されたそうですれども、パターン・ランゲージというのは、建築学の言葉だそうです。
例えば、望ましいデザインとは何かというような抽象的な言葉ではなくて、これを分かりやすい言葉で言い表す、例えば、小さい広場がある、人が座れる階段がある、望ましいデザインとは何かといった時に、こういうことなんだと具体的に示してあげる、言葉でイメージが具体化されることで、専門的な分野だとかが、非常に理解しやすくなるというふうなことだそうです。
認知症の人が、生き生きと暮らす実践的工夫やコツ、これは、複雑で、一言では表しにくい、そういう意味では、経験として個人に蓄積されている、そうしたものを広く紹介、共有するために、有効なことであるそうです。
人生の新しい旅が始まる、こういうふうにも、この准教授おっしゃっております。前向きに受け止めるという点では、非常に大事だと思いますので、こういうような点も、今後、考えていただければと思います。